2013年4月14日日曜日

現役通訳者が書評をしたら【4】『リスクとリターンで考えると、人生はシンプルになる!』



もはや情報に国境はなく、アメリカにいても勝間和代に影響されたか、『リスクとリターンで考えると、人生はシンプルになる!』(山崎元、ダイヤモンド社)を読んでみた。

読後の記憶に一番残った文章は「資格などを取ることで、自分に対する評価が自然に向上し、人間関係までうまくいくと思って勉強に逃避する人をよく見かけますが、これは有効な解決手段にはなりません」「他人に(何かを)提供できて、他人の役に立てば十分なのです」(p. 82)。

英語ではBook-smartな人(頭でっかち)とStreet-smartな人(現場派)と言い、前者の評価は低いが、上記の文章はまさにそれを言い換えたもの、と言えるだろう。そして自己再帰的self-reflecxiveになって自己反省self-reflectionしてみる。

また、「他人の役に立てば十分」というのは、大げさかも知れないが人によっては人生の指針ともなりうる名言であると思う。そう、人生で少しでも他者の役に立っていれば十分で、幸せなことなのである。

本書全体を要約すると「決断は投資と同じ、だからリスクとリターンの2つの変数で考えればよい」、「金、時間、自由は等価交換できる」、これに尽きる。僕は、人間の行動をすべて経済学的に考えてしまうことを「経済学還元主義」と揶揄するが、複雑なものを複雑に考えずに敢えてシンプルにしてしまいたい(フロイト流に言えば)神経症的な人にはもってこいの本だろう、と言ったら言い過ぎか。

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